感染症・結石

尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎、精巣上体炎、前立腺炎など)

尿路とは尿の通り道のことを言います。女性では、腎盂、尿管、膀胱、尿道、男性では、腎盂、尿管、膀胱、前立腺、尿道を指します。(シェーマ)
これらの尿路に細菌が侵入し感染を起こすことを、尿路感染症を言います。
 

膀胱炎

女性に多く見られ、排尿する時に痛みがある、尿の回数がおおい、尿が濁る、血がまざっているなどの症状がみられます。
 

腎盂腎炎

発熱(しばしば38度以上)、背中の痛み、膀胱炎のような症状が見られます。
 

精巣上体炎

発熱、睾丸の痛み、腫れ、排尿痛などが見られます。

前立腺炎

前立腺炎とは前立腺に炎症が起こった状態で、急性と慢性に分けられます。
急性前立腺炎では、前立腺で細菌が繁殖することで、38℃以上の発熱や、排尿時痛、排尿困難がおこります。抗生剤による治療が必要で、多くの場合は入院加療が必要となります。
慢性前立腺炎は、細菌性と非細菌性に分類されます。下腹部、会陰、陰嚢、陰茎、鼠径部などの鈍痛や不快感、頻尿、残尿感、排尿時痛、射精時の痛みや不快感など様々な症状が現れます。
長時間座った状態(デスクワーク、乗り物での移動、自動車運転など)や前立腺を圧迫する姿勢(自転車・バイクなど)などの機械的な刺激が原因のひとつです。また、不規則な生活、睡眠不足、ストレス、飲酒、刺激物(辛い物、コーヒー等)の摂取、冷えなども原因となります。

治療は生活習慣の改善と薬物療法が主体となります。使用する薬剤としては、抗菌薬、PDE5阻害薬(排尿症状がある場合)、抗炎症薬(植物製剤や鎮痛剤)、漢方薬などがあります。
治療効果に関してはすぐに現れる患者さんもおられますが、長期間の治療が必要になる患者さんもおられます。症状が改善しない場合は別の薬に変えたり、いくつかの薬を組み合わせたりするケースもあります。

尿路感染症の治療は、内服または点滴での抗菌薬治療が主体となります。炎症がつよい場合は、入院での治療が必要となりますので、関連病院にすみやかに紹介いたします。

性感染症(尿道炎、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ など)

尿道炎

 

淋菌性尿道炎

淋菌性尿道炎は、感染後2~7日で、男性の場合、尿道から黄色い膿が出たり、排尿時に激しい痛みを伴います。淋菌性尿道炎の20~30%にクラミジアが混合感染している場合があります。
治療は、抗菌薬の点滴を行います。
 

非淋菌性尿道炎

多くはクラミジアによる尿道炎であり、最も多い性感染症となっております。男性では精巣上体炎や前立腺炎の原因となることもあります。また、近年非クラミジア性非淋菌性尿道炎の頻度が増加しており、マイコプラズマ・ゲニタリウムやトリコモナスなどが検出されることがあります。
非淋菌性尿道炎では、感染後1~3週間で、軽い排尿痛、尿道のかゆみ、違和感、尿道から透明の分泌物が出ます。
治療は、抗菌薬の内服を行います。

梅毒

梅毒は、感染後約3週間くらいで発症します。
初期症状としては、性器の硬結や無痛性潰瘍を認め、やや遅れて鼠径部などのリンパ節の腫れを認めます。その後いったん症状の改善を認めますが、約3か月後に全身の皮膚・粘膜の発疹や臓器梅毒の症状がみられます。
近年、急激に患者が増加しており、男性のみならず女性の梅毒感染者も急増しています。
血液検査で感染の有無を判断し、内服または注射の抗菌薬で治療します。
 

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、感染後2~10日に、性器にかゆみや違和感を伴った直径1~2mmの複数の水疱が出現し、痛みを伴った潰瘍を形成します。治療は、抗ウイルス薬の内服を行います。本疾患は、しばしば再発がみられます。
 

尖圭コンジローマ

ヒト乳頭腫ウイルス感染による性感染症の一つで、感染後3週~ 8か月(平均 2.8か月)で発症します。男性では、陰茎の亀頭、冠状溝、包皮、陰嚢などに、乳頭状、鶏冠状またはカリフラワー状の疣贅(イボ)が見られます。
治療は、軟膏、液体窒素による焼灼、または手術による切除を行います。

尿路結石症

腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石が生じる疾患です。
突然に生じる激しい痛みと血尿が典型的な症状です。
男性の7人に1人、女性の15人に1人に発症するといわれています。様々な原因がありますが、糖尿病、高血圧、脂質異常症、痛風などの生活習慣病がある方に多くみられ、肥満も尿路結石のリスクとなります。尿路結石は非常に再発しやすく、適切な生活指導を行われない場合は、患者さんの80-90%に再発すると言われています。
治療としては、薬物治療または砕石治療があります。砕石治療が必要な場合は、関連病院にすみやかに紹介いたします。
結石の治療が終わったとしても、再発を防ぐため、定期的な受診をおすすめします。