排尿障害

前立腺肥大症

前立腺は男性の膀胱の下に尿道を取り囲むように存在し(ドーナツに例えるとドーナツの穴が尿道でドーナツ自体が前立腺のイメージ)、通常はクルミ大程度の大きさの臓器です。
加齢、遺伝、男性ホルモン、生活習慣などが影響して、50歳頃から徐々に肥大し、尿道が圧迫されることによって排尿に関わる様々な症状が出現します。

症状としては、以下のようなものがあります。

  • 尿が出にくい・勢いがない
  • 尿が途切れる、
  • おなかに力をいれないと尿が出ない
  • 尿の回数が多い
  • 急に尿意をもよおす
  • 排尿した後に残る感じがする

治療法としては、まず薬物療法を行います。重症例には、手術治療が必要となります。
手術が困難な場合、手術を希望されない場合は、清潔間欠導尿(CIC)や尿道カテーテル留置を行います。

過活動膀胱

過活動膀胱は様々な原因で膀胱が過敏な状態になる病気です。
突然起こる、我慢できないような強い尿意(尿意切迫感)、トイレに行く回数が増える(頻尿)、突然の強い尿意で我慢できずに漏らしてしまう(切迫性尿失禁)が主な症状です。
治療方法は、生活指導と薬物療法の組み合わせが一般的です。
少なくとも12週間の薬物治療を継続しても症状の改善が見られない場合、難治性過活動膀胱といいます。
当院では、難治性過活動膀胱に対するボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法も行っています。

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群

間質性膀胱炎は、なんらかの原因で膀胱粘膜下につよい炎症がおこり、潰瘍(ハンナ潰瘍)を形成して、膀胱痛や頻尿をきたす疾患です。現在、国から難病指定されています。また同様の症状をきたす疾患として、膀胱の知覚過敏をきたす膀胱痛症候群があります。
膀胱炎や過活動膀胱など他の治療を行っても症状の改善が見られない場合、この疾患が隠れていることがあります。診断は膀胱鏡検査によって行い、ハンナ潰瘍があれば間質性膀胱炎と診断します。
間質性膀胱炎では、水圧拡張術、ハンナ潰瘍焼灼術により症状の緩和が期待できます。また、DMSO膀胱内注入療法やその他薬物治療を行うこともあります。手術治療が必要な場合、関連病院へ紹介いたします。
膀胱痛症候群に対しては、生活指導、薬物治療を行います。

神経因性膀胱

神経因性膀胱とは、神経の異常が原因で起こる膀胱機能の障害です。原因となる神経疾患は、脊髄損傷、脊髄炎、二分脊椎、多発性硬化症、糖尿病など様々です。
症状としては、排尿の感覚がない、尿が出しにくい、尿が漏れるなどがあり、神経障害の部位、程度によって異なります。
適切な管理がなされないと、尿路感染症や腎機能障害をきたすことがあり、注意が必要です。
自排尿での管理が困難と判断された場合は、清潔間欠導尿(CIC)が第一選択となります。自己または介助者による導尿が困難な場合は、留置カテーテルでの管理が必要となります。また、定期的に尿検査、超音波検査などで尿路感染症や腎機能障害がおきていないかチェックします。